
こんにちは、初石駅前校です。
昨今の高校教育では、「探究学習」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。これは、知識をインプットするだけでなく、生徒自身が問いを立て、情報を収集・分析し、解決策を導き出す「考える力」を育むことを目的としています。
特に、大学入試の総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜が増える中で、この「考える力」は将来の選択肢を広げる上で不可欠なスキルとなっています。流山市、柏市周辺の高校でも探究学習の時間が増加しており、生徒たちは従来の暗記中心の学習から大きく変化した環境に身を置いています。
📖 目次
探究学習適性チェック
まずは、現在の探究学習への取り組み状況をチェックしてみましょう。
□ 問いを立てる力
□ ニュースや授業内容に対して「なぜ?」と疑問を持つことがある
□ 一つの答えに満足せず、別の可能性も考えてみる
□ 友達や先生に質問することを恐れない
□ 身の回りの現象に興味を持って観察している
□ 情報収集・分析力
□ 複数の情報源から情報を集める習慣がある
□ インターネットの情報を鵜呑みにせず、信頼性を確認する
□ 賛成意見と反対意見の両方を調べるようにしている
□ 得た情報を整理し、比較検討できる
□ 表現・発信力
□ 自分の意見を根拠とともに説明できる
□ レポートや発表を苦手と感じない
□ 他者との議論を通じて考えを深められる
□ 文章や図表を使って情報を整理できる
なぜ今、「考える力」が重要なのか?
AI技術が進化し、知識の検索は容易になりました。これからの社会で求められるのは、検索した知識を鵜呑みにせず、「なぜ?」「本当にそうか?」と疑問を持ち、自分なりの答えを生み出す能力です。
従来の教育では、正解が一つに決まっている問題を解くことが中心でした。しかし現代社会では、明確な答えのない課題に取り組むことが日常的になっています。環境問題、社会格差、AI倫理など、複雑で多面的な問題に対して、自分なりの視点で解決策を見つける力が求められています。
大学入試においても、単なる暗記力ではなく、論理的思考力や表現力を問う傾向が強まっています。特に総合型選抜では、志望理由書や面接で「なぜその大学を選んだのか」「どのような研究をしたいのか」を深く問われます。
冬休みに始める探究学習
年末年始の冬休み期間は、普段の授業とは違った視点で学習に取り組める貴重な時間です。この機会を活用して、探究学習の基礎を身につけてみませんか?
まず始めやすいのは、年末年始のニュースを材料にした探究活動です。経済動向、国際情勢、科学技術の進歩など、一年を振り返る特集記事が多く報道されます。気になるニュースを一つ選んで、「なぜこのような問題が起きているのか?」「解決策はあるのか?」を調べてみましょう。
また、家族や親戚との会話も貴重な情報源になります。異なる世代の価値観や体験談を聞くことで、物事を多角的に捉える視点が養われます。お正月の集まりでは、ぜひ積極的に質問をしてみてください。
冬休み中に読書の時間を増やすことも効果的です。ただし、小説だけでなく、新書や雑誌記事なども取り入れて、様々な分野の知識に触れることを心がけてください。
高校生が「考える力」を育む3つのステップ
1. 「問い」を立てる習慣を身につける
探究学習のスタートは、良い「問い」を立てることから始まります。授業やニュースを見たときに、「ふーん」で終わらせず、「なぜそうなるのだろう?」「もしこうなったらどうなる?」と、立ち止まって疑問を持つ習慣をつけましょう。
興味の種は日常の中に隠れています。通学路で見かける工事現場、コンビニで目にする商品の価格変動、友達との会話で出てくる価値観の違いなど、すべてが探究のテーマになり得ます。
2. 意見の「根拠」を意識する
友達や先生と議論するとき、自分の意見を述べるときは必ず「なぜなら〜」と根拠を添えることを意識しましょう。この訓練を繰り返すことで、思考が深まり、論理的な裏付けを持つことができます。
根拠を示す際は、体験談だけでなく、統計データや専門家の意見、歴史的事例なども活用してみてください。これは小論文や面接で非常に役立ちます。
3. 「アウトプット」を繰り返す
インプットした知識や考えたことを、レポートやプレゼンテーション、日々の会話など、何らかの形で外に出す(アウトプットする)ことが大切です。
人に説明しようとすることで、自分の理解が曖昧だった部分に気づき、考えがさらに整理されます。SNSやブログで発信するのも一つの方法ですが、まずは家族や友人に話してみることから始めましょう。
探究学習の現状データ
文部科学省の調査によると、2022年度から高校で本格的に導入された「総合的な探究の時間」について、約7割の生徒が「興味深い」と回答している一方、約4割の生徒が「何をすればよいか分からない」と困惑していることが明らかになっています。
また、大学入試センターの分析では、総合型選抜の受験者数は年々増加しており、2023年度には全体の約15%に達しています。これらの入試で重視されるのは、探究活動の経験や論理的思考力、表現力です。
興味深いことに、探究学習に積極的に取り組んでいる生徒ほど、将来の進路に対する明確なビジョンを持っている傾向があることも調査で分かっています。自ら問いを立て、調べ、考える過程で、自分の興味や適性を発見しているのです。
探究学習に関するよくある質問
Q:探究学習で良いテーマが見つかりません。どうすればいいですか?
身近な疑問から始めることをおすすめします。「なぜ電車の遅延が多いのか?」「なぜこの地域にはコンビニが多いのか?」など、日常的な「なぜ?」を深掘りしてみてください。大きなテーマである必要はありません。
Q:調べても答えが見つからない場合はどうすればいいですか?
答えが見つからないことも立派な結果です。「現段階では解決策が見つからない」「複数の仮説が考えられる」ということも、重要な発見です。その過程で何を学んだかを整理してみてください。
Q:大学入試に探究学習の経験は本当に役立ちますか?
はい、確実に役立ちます。総合型選抜や学校推薦型選抜では、探究活動の経験が直接評価されます。また、一般入試でも小論文や面接で論理的思考力が問われるため、探究学習で培った力は大きなアドバンテージになります。
• 探究学習は「考える力」を育むための新しい学習アプローチ
• 日常の「なぜ?」から始まる問いを立てる習慣が重要
• 意見には必ず根拠を添える訓練で論理的思考力を鍛える
• 冬休み期間は探究学習を始める絶好の機会
• 大学入試でも探究学習の経験は大きなアドバンテージになる
まとめ
「考える力」は、知識の量とは関係ありません。それは、毎日の小さな疑問や、学習への向き合い方から生まれます。
探究学習は決して特別なことではありません。普段の生活の中で「なぜ?」と立ち止まり、自分なりに答えを見つけようとする姿勢こそが、探究学習の本質です。その積み重ねが、やがて大学入試や将来の職業選択で大きな力となって現れるのです。
冬休みという時間のある時期を活用して、身の回りの気になることを一つでも深く調べてみてください。きっと新しい発見と、考える楽しさを感じられるはずです。
塾長より