
こんにちは、初石駅前校です。
お子様が高校受験を控える中学生の保護者の皆様にとって、現在の高校入試制度は「自分の時と全然違う」と感じるかもしれません。入試は年々複雑化し、多様な選抜方式が導入されています。
特に、内申点(調査書)の評価基準や、学力検査以外の要素が合否に占める割合が増えています。さらに、公立高校離れが加速する一方で、私立高校の基準厳格化も進んでいます。流山市、柏市周辺の高校でも、こうした変化が顕著に現れています。最新の入試制度のトレンドを理解し、中学生のうちに何を準備すべきか、ポイントを解説します。
📖 目次
データで見る千葉県の高校入試の変化
千葉県の高校入試は、ここ数年で劇的な変化を遂げています。
- 公立高校離れの加速: 公立高校志願者数は平成27年の33,000人から令和6年には28,000人に減少。約5,000人が私立志向に転換しています。
- 私立志向の拡大: 令和7年度は受験生の25.3%、つまり4人に1人が私立高校を第一志望としています。私立高校の支援金制度拡充により、この傾向は今後さらに強まる可能性があります。
- 二極分化の深刻化: 人気上位校と下位校の格差が広がり、令和6年度の2次募集では定員1,760人に対し393人が受験。令和3年度の194人から約2倍に増加しており、進路未決定者の増加が懸念されています。
公立高校の最新動向と人気校
千葉県で人気の公立高校
流山市、柏市周辺で特に人気が高い公立高校は以下の通りです。
- 高倍率校: 東葛飾高校(1.94倍)、小金高校(1.58倍)、柏南高校(1.54倍)、松戸国際高校[国際教養科](1.40倍)
- 安定人気校: 松戸高校、鎌ケ谷高校、市立松戸高校、柏の葉高校
- 志願者増加校: 松戸六実高校(制服を一新し2年連続増)、鎌ケ谷高校(人気回復傾向)
令和8年度(2026)入試からの調査書簡素化
令和8年度入試から、調査書の以下4項目が削除されます。
- 総合的な学習の時間の記録
- 出欠の記録(1~3年)
- 行動の記録(3年)
- 総合所見
これにより、評価はより定期テストの成績と学力検査に集中する傾向が強まります。
学校間格差と「算式方式」の可能性
千葉県全体の5段階評価平均は「3.59」です。つまり「オール3」は真ん中ではなく、実際は「3と4が混在」するレベルです。また、4人に1人が評定「5」を獲得しており、学校によって成績の付け方に大きな差があります。
この学校間格差が拡大すれば、過去に採用されていた「算式方式」が復活する可能性もあります。算式方式とは、各中学校の定期テストの難易度差を数式で補正し、内申点を均一化する仕組みです。成績が甘い学校・厳しい学校の不公平を是正するため、再導入が検討される可能性があります。
私立高校の厳格化と推薦基準の変化
推薦基準の引き上げ
私立高校は近年、入学者の質を高めるため推薦基準を厳格化しています。
- 併願推薦(B推)の基準上昇: 以前は「オール3」程度でも併願推薦が得られましたが、現在は「オール4」がないと併願推薦(B推)が得られない学校が増えています。
- 下位コースの併願廃止: 基準に達しない生徒は一般入試での受験となり、合格の保証がなくなります。この影響で、東京の私立高校に流れる生徒も増加しています。
- 入試科目の増加: 従来の3科入試から5科入試に変更する私立高校が増えており、学力検査の負担が増しています。
欠席日数の厳格化
私立高校は出欠席を極めて重視する傾向にあります。
- 総計ではなく学年別管理: 従来は「3年間で合計30日程度まで」という基準でしたが、現在は「中1で10日以内、中2で10日以内、中3で10日以内」と各学年ごとに細分化されています。
- 事由を問わない厳格運用: 病気や家庭の事情など、どのような理由であっても欠席は欠席としてカウントされます。温情措置はなく、ドライに判断される傾向です。
- 学校生活の継続性重視: 学校運営の観点から、安定した通学実績を重視する傾向が強まっており、欠席日数が多い生徒は推薦対象外となるケースが増えています。
これは公立高校が多様性を重視する方向に進む中、私立高校は逆行している現状を示しています。
保護者が押さえるべき3つのポイント
1. 内申点の重要性を理解する
「入試直前の頑張り」だけでは取り戻せないのが内申点です。中1・中2からの積み重ねが極めて重要であり、普段の提出物、授業態度、定期テストの点がそのまま内申点に直結します。
2. 私立高校の併願推薦(B推)を戦略的に活用する
併願推薦(B推)は公立高校が第一志望の生徒にとって安全校確保の重要な選択肢です。ただし、基準の厳格化により「オール4」が必要な学校が増えているため、中3の1学期までに基準を満たすことが必須です。
3. 説明会・個別相談会への参加は必須
秋以降の説明会や個別相談会では、お子様の内申点を伝えることで、合格の可能性や優遇措置について具体的なアドバイスがもらえます。志望校選びの重要な判断材料になるため、必ず参加しましょう。
受験準備チェックリスト
お子様の高校受験準備が順調に進んでいるか、以下のチェックリストで確認してみましょう。
□ 志望校の内申点と学力検査の配点比率を把握している
学校によって配点が異なるため、早めの確認が必要です。
□ 中1・中2の成績表(通知表)を保管している
3年間の内申点が必要なため、過去の記録も重要です。
□ 定期テストの提出物を期限内に出せている
提出物の遅れは内申点に直接影響します。
□ 欠席日数を把握し、各学年10日以内に抑えている
私立高校の推薦基準では、学年ごとの欠席日数が厳しくチェックされます。
□ 併願推薦(B推)の基準を満たしているか確認済み
「オール4」が必要な学校が増えているため、早期確認が重要です。
□ 志望校の説明会や個別相談会の日程を確認済み
秋以降は予約が埋まりやすいため、早めの計画が必要です。
□ 公立・私立それぞれの併願パターンを検討している
公立第一志望でも、私立の安全校確保は必須です。
□ お子様と進路について定期的に話し合っている
本人の意思と適性を尊重した選択が重要です。
5個以上チェックが付けば順調です。3個以下の場合は、今すぐ対策を始めましょう。
よくあるご質問
Q. 内申点が低くても、入試当日に高得点を取れば合格できますか?
A. 学校によっては可能ですが、内申点の配点比率が高い学校では難しいのが現実です。特に東葛飾高校や小金高校などの人気校は内申点も重視されます。志望校の配点比率を確認し、現実的な目標設定をすることが大切です。
Q. 併願推薦(B推)の基準に達しなかった場合、どうすればいいですか?
A. 一般入試での受験となりますが、合格の保証はなくなります。また、下位コースの併願推薦を取りやめる学校も増えているため、基準に達しない場合は東京の私立高校や、別の私立高校を検討する必要があります。
Q. 欠席日数が多いのですが、推薦は難しいですか?
A. 私立高校の推薦では、各学年ごとに欠席日数が10日以内であることが目安とされています。病気や家庭の事情であっても、事由を問わず欠席としてカウントされるため、推薦を希望する場合は欠席日数の管理が重要です。
Q. 公立高校の2次募集は狙い目ですか?
A. 2次募集の受験者は近年増加しており、競争は激しくなっています。また、2次募集がある学校は定員割れしている学校が多いため、希望する進路とのミスマッチが生じる可能性もあります。できる限り1次募集での合格を目指しましょう。
• 公立高校志願者は平成27年から約5,000人減少
• 私立志向は25.3%、4人に1人が私立を第一志望に
• 併願推薦(B推)は「オール4」が必要な学校が増加
• 私立高校は欠席日数を学年ごとに厳格管理
• 令和8年度(2026)入試から調査書4項目が削除
• 東葛飾、小金、柏南などの人気校は高倍率継続
まとめ
高校入試の「複雑化」と「厳格化」は、子どもたちの多様な個性を評価しようという公立高校の流れと、質の高い入学者を確保しようという私立高校の戦略が交錯する中で進んでいます。
成績の数字だけでなく、お子様の強み、そして将来の目標を明確にし、適切な対策を打っていくことが、保護者の皆様に求められています。特に、内申点の積み重ねと欠席日数の管理は、中1から意識することが合格への近道です。
当塾では、内申点対策から併願推薦(B推)の戦略立案、志望校選びのサポートまで、一人ひとりに合わせた受験指導を行っています。流山市、柏市周辺の高校受験でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
塾長より